平成26年度山岳指導員研修会(無雪期)(兼山岳技術研修会)
実施報告
○ 目的 山岳指導員の育成及び会員の登山技術習得
○ 主催 滋賀県山岳連盟
○ 主管 滋賀県山岳連盟 指導委員会
○ 期日 2014年5月25日(日)9:00~16:00
○ 会場 京都市大原 金比羅ロックゲレンデ 「ゲタ」周辺
○ 講師 主任講師 山本一夫(国際山岳ガイド・滋賀岳連指導委員)
講師 大越久嘉(滋賀岳連指導委員長)
スタッフ 藤堂保(滋賀岳連副会長)
須藤邦裕(山岳ガイド・滋賀岳連)
大越玉代(滋賀岳連)
○ 参加 指導員資格者 0名 一般 14名(内会員外 1名)
合計19名 (講師スタッフも含む)
○ 研修内容 「ロープを使った岩稜帯の歩行/登攀」
09:00 開講式(寂光院前駐車場)~岩場移動
10:30 研修1 アンカーの構築および 確保等のロープワーク
(主任講師より全体講習)
研修2 岩稜登攀/懸垂下降/クライミング等
(実技研修)
16:00 下山~閉講式~解散
◎今日の研修ポイント
* 自然界における危険(客観的/主観的)を知る
* リスク対策およびバックアップ(計画書作成の重要性)
* ロープの特性および注意点
* アンカー支点の重要性および構築
* 新しいクライミングシステム(装備・操作法)を学ぶ
(確保技術・懸垂下降等)
所感 「変革するもの しないもの」
昨今の山岳やクライミング界において、岳人に取り巻く環境は激変していると感じています。
その大きな要因の一つとして、登山装備の進化があります。クライミングギアも含めて、これら
の装備は軽量化され、柔らかく誰でも扱いやすい構造になっています。高度なクライミングをす
る者にとってそれは有り難い事で、彼らが目指すよりシンプルでスピーディな登攀の後押しをし
てくれています。
このような装備は当然一般登山者にも普及し、実際の山岳でも広く使われています。またこれ
らの取り扱いについては、書籍やインターネットなどで情報を個々に入手して、皆様概ね間違い
なく活用されています。初心/初級者の方々に、また今まさに現役クライマーとして活動してお
られる方に対しても、岳連や指導的立場の者が最新で多様な技術を伝えなければならない必要性
は少なくなってきました。
私たちがこの研修会を開催するにあたっても、どんな事を研修するのか相当悩みました。最新
の装備や技術を使って高度な登攀を意識したより深い研修をするのがいいのか、はたまた今さら
ながらの基本となるノウハウを繰り返し伝えるのがいいのか?
私ども滋賀岳連 指導委員会は後者を選択しました。ロープやビレイデバイスなど最近のギア
の特性を伝えつつ、現場(ゲレンデ化されきっていない自然の岩場)でしか感じる事が出来ない
自然界の事をタイムリーにお話しするのが、結果として受講して頂いている方の身になると判断
しました。
自然界に同じ条件、同じ気象は存在しません。その場その場で当事者が自分たちで、間違いの
ない判断やシステムを構築できる、その選択肢の幅を広げられる岳人に育って頂けるように、継
続して指導していく事が私たちの責務だと考えています。
この理念に則って、今後もこうした研修会を開催していこうと思っています。
記;指導委員長 大越
開講式の様子
藤堂副会長より挨拶、山本主任講師からの本研修会の意義説明を受けた後、
岩場に向けて出発しました。
研修1
自然界における危険(主観的・客観的)について講義受け、その心構えについて学びました。
研修1
サイズの違うロープをナイフで切断してその耐剪断性の違いを実験しました。
研修1
岩場のクラックを使って、ハーケンやナチュラルプロテクションを利用してアンカー支点を構築する
デモンストレーションを行いました。受講生から、スリングの長さや流動分散についての質問も受け、
アンカー支点の重要性を説きました。
研修2
実地研修です。スタッフが実際に墜落テンションして確保の訓練を行いました。アンカー支点との距
離や力のかかり具合、デバイスの操作法など学ぶ事は多いです。
皆様、お疲れ様でした。
○この研修会は年2回(無雪期、積雪期)の指導員資格の更新に伴う研修会であり、指導者としての技術、指導力を高める事を目的としています。(指導員資格の更新の為の義務研修です)
また、岳人としての登山技術の習得目指し、指導員資格者/一般参加者ともに、今後も継続してこの研修会兼講習会にご参加下さい。
今回受講された方は、この研修経験をふまえ、今後の山岳活動や後身指導に活かせて頂ければ幸いです。クライミングや山岳を行う者は、常日頃より技術習得と登攀力向上の心を持ち続ける必要があります。
滋賀県山岳連盟は、今後もこうした機会を随時設けて、山岳を目指す方々のご期待に添えるよう致します。